白雲の果て、春の雪

 あ と が き
どうも〜。
相変わらず長々と続いてしまった今作でしたが、最後までお付き合い頂きました皆様、どうもありがとうございます。
元はと言えば去年の3月に、サイトの開設記念作としてフリー配布用にと書き始めていたものの、いつものようにキャラ達がどんどん騒がしくなり…。
気付けばキャラたちも、テンションが上がったり下がったりと、紆余曲折を繰り返しているうちに、またもこんな長編になってしまいました。
ですが、一回のページ数は増減しつつも、全20話で終えられたのは、うちのサイトの中で言えばコンパクトな方でした☆
それだけ長い話が多いってことで…読み疲れを招いて、どうもすいません〜。

橘家の最初の話「翼の設計図」を書いていた時、生まれた子供たちを祝う場所に、八葉全員が揃っていないことが、ずっと自分の中で気にかかっていました。
この設定では、既に天真くんと詩紋くんは現代へ帰ってしまっていることになっていたのですが、それでも二人だけがそこにいないのが、どうもしっくり来なくて。
何だか、二人だけ仲間はずれになっちゃった気がして、どうにか八葉全員がご対面出来ないもんかなーと、常々考えていたのです。

もし書くとしたら、その機会をどうするか…。
二人が京に戻るか、それともあかねちゃんたちが現代に来るか…。
でも、あかねちゃんたちが現代に来たら、+八葉全員では大事になりそうなので、却下(そりゃ大変だ…)。
春になり、桜の景色を眺めたり、その時期に卒業する生徒たちや新社会人の姿を見ていて、「もう一回、成長してそれぞれの生活に戻ったみんなが、同窓会みたいに再会できるようなサプライズがあっても良いんじゃ?」と思いました。
「千歳や文紀と会ったら、天真くんたちは驚くだろうなあ〜」と想像が膨らみ、ようやく書き始めたのでした。

久しぶりの同窓会みたいな、賑やかな雰囲気にしようと書いていたのに、どうしてでしょうねえ…あれやこれやといろいろな事が起こり始めて(笑)。
それでも最終的には、いろんな部分を描けることが出来て、自分的にはとても楽しかったです。
穏やかになった京で、普通に暮らしている八葉たちや、入内した藤姫、徐々に成長する子供たち。
全く最初からオリジナル設定になるパラレルとは違って、オフィシャルの基盤の上で展開していく彼らのその後を、想像しながら書くのが本当に楽しかったです。
「頼久さんはこんなことしてるかなあ」とか「イノリくんはこんな職人さんに…」と、いう感じで、数年後の八葉たちを思い描くのは楽しかったですよ。

その反面で、好きだからこそ、他にかけがえのない人だからこそ、その人と別れるかもしれないことに思い悩む友雅さんとか。
ホントに何て言うか…普段さらっと堂々としている人が、たったひとつの恋で気弱になっちゃったり…って、そういう極端な変化がつくづく好きなもんで〜。
なので、一番書きたかったのは、後半であかねちゃんに「行かないでくれ」ってすがる友雅さんです♪
(更新情報で以前書きましたけど、ゲームラストで龍神を呼ぶあかねちゃんに叫ぶ「行くな!」じゃなくて「行かないでくれ」なんですよ。前者は必死で止めようとしている感じがありますけど、後者になるとすごく切実っていうか、悲哀を感じませんか?そんな雰囲気を出したかったんですー)

おかげで話の中盤からは、随分とシリアスな雰囲気になってしまいましたねえ〜。
しかも、それをハッピーエンドに向けるために、わざわざサイトの年令制限まで緩くしたりして(笑)。
でも、この二人はれっきとした夫婦だから、ある意味「心身一体」であって良いと思うんですよね。
心と心が求め合ったとして、その沿線上ですべてを求めたくなるような流れが、自然に起こってもおかしくないだろうし…。
頭の中で想像しても、そういう形の方が恋愛映画みたいな感じで、甘くて良いかなあって(笑)。
それでも、そういう男女の絡みのシーンではありますから、それをどうやってさらっと年令制限をうるさく指定せずに掛けるか、いろいろ悩んでたくさんの方にアドバイスを頂きつつ書き上げましたが…。
まあ、比喩を使ったり意外にあっさりと書いたつもりだったので、さらっと無理なく読んで頂けたみたいで、ホッとしました(笑)。
これくらいの感じは、今後の作品にも出て来ると思いますよー。
どうぞご了承くださいませ♪

その他にも、いろんなエピソードを詰め込みましたねえ。
中でもあかねちゃんのおめでたは、一番のハッピーサプライズだと思うのですが、これも本当はずっと前に考えていたことでして。
だって、あんだけ四六時中イチャイチャラブラブベタベタな二人ですしー、文紀と千歳も大きくなったし、もう一人くらい出来ても良いんじゃ?と(笑)。
最初はフリー用の短い話のつもりだったので、天真くんたちと再会した時に
「実はこの子たちの他にも、もう一人可愛い子があかねの中にいてね…」
「何!妊娠してんのか!?」
みたいにあっさり判明するはずでしたが、最後の最後になってしまいました。
それもこれも、途中で友雅さんが後ろ向きになっちゃったせいです(←自分でさせておいて)。

でも、悩んだ挙げ句に今まで以上にラブラブ〜になったわけですから、その最後におめでたを知らされる方が、幸福感とかを強く感じられるかなあと思い、こんなにずれ込んでしまったというわけです(笑)。
三人目は…男の子でしょうかねー?女の子でしょうかねー?
もう一度双子…はない…と思いますけれども…さて、今度はどちらに似た子になるでしょうね?
千歳や文紀も、お姉さんお兄さんらしくお世話するようになるかな〜?
今のところ、その話を書く予定は立てていませんが、そんな子どもたちを想像してみるのも楽しいですね。

そうそう、その千歳も…今回はじめての恋を経験、だなんておしゃまなことになってますが。
彼女も、もう五つですし。女の子の方がおませさんですしね、そろそろこんな経験も良いかな、と思いましてね。
お相手になった詩紋くんは、果たして本当に千歳の王子様になるのか…は、まだまだ先の話。
神のみぞ知るといったところでしょうが、それもまた想像して楽しめそうです。

ところで、ちょっとした製作裏話。
タイトルの「白雲の果て、春の雪」は、"白雲"という言葉が"遥か"という言葉の枕詞に掛かるということを古語辞典で知り、引用しました。
"春の雪"は文字で想像出来るように、桜吹雪のことです。
----遥か遠い世界に降る桜吹雪、という感じの情景でしょうか。
そんな感じで付けたタイトルです。

そして、ラストで出て来る歌詞は、慈鎮和尚作「春のやよい」です。
これは本当に、偶然に知ったことなのですが。
宴で永泉さんたちが演奏する雅楽は、どんなものが良いかなとネタを探していたところ、「越天楽」という曲を見つけまして。
宮廷のお祝いの席で演奏されていたとのことで、これが良いかなあと漠然に思って、更に調べて行くと、これに歌詞を付けた「越天楽今様」というものが出てくるのを知りました。
その歌詞が、今回引用した「春のやよい」でした。
ですが、歌詞を見てびっくり。
あまりにも良いフレーズが、ぴったりと入っていたもので…。
春夏秋冬の景色を描いて、4番まである歌なのですが、特にその春と夏の歌詞。
春には、今作のタイトルの「白雲」という言葉が入っているし、夏になると「花橘の」という言葉が入っているんです。
タイトルの「白雪」、そして「橘」。
たまたま見つけたとはいえ、偶然にしてはあまりにぴったりで驚きました。
これは是非何かコネタに使いたいなあと、本当なら友雅さんに歌わせてみようかと思いましたが、ちょっと発祥の時期がズレすぎるので却下。
それでも何とか使用したくて、こういうラストになりました。

あ、神泉苑での結婚式は…本当に出来るらしいですよ。

……と、そんなこんなで、何とかエンドマークに辿り着いた今作。
橘家のお話は、これからもぽつぽつと書いて行くつもりです。
実は、ちょっと趣向の変わったお話を書いたのですが、それはまた機会を見て、公開出来れば良いなと思います。

最後にもう一度、長丁場の連載をお読み頂いた皆様、お付き合い下さいまして、ありがとうございました。
少しでもお楽しみ頂けましたら、本当に嬉しい限りです。



-------------2009年1月11日 春日 恵



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